【食の都庄内シリーズ】庄内砂丘メロンがあなたに届くまで

2022.03.31

「庄内地方」は四方を海と山に囲まれ、米、野菜、果物、地魚、肉類等の「おいしい食材」の宝庫です。
これら豊富な食材から生まれた郷土料理や地酒があり、そして多彩な料理を提供する料理人たちと、それらを楽しむ人々がここ庄内にいます。
「美食」と「美酒」を同時に堪能することができる食の理想郷こそが「食の都庄内」なのです。

庄内の夏のフルーツと言えば「庄内砂丘メロン」
甘くて、ジューシーなメロンが、どんな作業を経て、どのような想いで作られているか、シリーズでお伝えしていきます。


※「食の都庄内」のSNSで連載されていた「あなたに届くまで」シリーズを再編集のうえ掲載させていただいております。

庄内砂丘メロンとは

日本海沿岸に位置する「庄内砂丘」で栽培されたメロンのことを総称して「庄内砂丘メロン」と呼びます。
庄内砂丘は、春から夏にかけて日照時間が長く、水はけのよい砂丘地、豊富な地下水に恵まれ、生育に合わせたかん水ができる等、メロン栽培に適した条件が整っています。歴史あるメロン産地でもあり、第一級の栽培技術を持った生産者の方も多数いらっしゃいます。

ご旅行の際、メロンを楽しむなら期間限定メロン食べ放題もおすすめ!
JA鶴岡 西郷選果場(サイト内)
庄内観光物産館(外部リンク)

*年度によって開催状況も異なるため、事前にご確認ください。

メロン発芽編

取材にご協力いただいた農家さんの畑は、鶴岡市西郷地区にあります。日本海に近い砂丘地帯で、メロンの産地です。

お邪魔したのは4月27日。
種まきは、3月上旬から始まっていると聞いたので、もうすっかりメロンは苗の状態かな~と思ったら、収穫時期が重ならないよう、時期をずらして種まきするので、ちょうど芽が出たばかりのものがあるとのこと!
見せていただいたら、お行儀よくならんで、ひょっこり顔を出しているメロンの芽が。かわいい~♪

箱の下には電熱線が引かれており、適温まで温度をかけて発芽を促しているそう。
逆に、日差しが強い時は熱くなりすぎるので、覆いをかけて日陰になるようにするそうです。
「こまめな温度管理があって、繊細な作業ですね」
とお聞きすると
「んだ、人間より気をつかうぜ(笑)」とのこと。
芽を出すときから、農家さんの愛情たっぷり受けて育つメロン。
これからの成長が楽しみです。

メロン育苗編

4月上旬に種まき後、ポットに鉢上げして、25日ほど経った苗を見せていただきました。
苗は農家さんのご自宅近くのハウスの中で管理されていました。
寒い時は、ポット下の電熱線で温めて、適温になるようにしているそう。
「この苗からできるメロンは、いつ収穫できるのですか?」とお聞きすると「露地に定植して、7月末~8月上旬頃だの」とのこと。
収穫の時期が重なると、作業が大変なので、お話を聞いた農家さんでは、3月上旬、中旬、下旬、4月上旬の4回に分けて種まきをしていました。
一番早い3月上旬種まきのメロンは、ハウスに定植して6月末頃には収穫できるそう!
今からメロンを食べるのが楽しみです♪

メロン定植編

3月下旬に種を播き、約1か月育苗した苗を、露地のトンネルハウスに定植していました。
鳥海山を望む畑にトンネルハウスがびっしり!
マルチ(地面に張ったビニールシート)の下に見える青いチューブは水をかけるための潅水(かんすい)チューブ。
この潅水チューブのおかげでこの広い畑の隅々まで水やりができるそうです。
メロンに直接雨が当たると品質が落ちるため、トンネルハウスのビニールはずっとかけているそうですが、暑くなると、ビニールをめくって温度を下げるそう。
風を受ける方のビニールをめくると、トンネルハウスが飛ばされてしまうので、風の向きを確認しながら開ける向きを決めるのだそうです。
「天気予報で風の向きを確認するんですか?」
と聞くと
「いや、その時々で風の方向が変わるから、畑にいながら決めんなや」
とのこと。
聞けば聞くほど、繊細なメロンの管理。
農家の方のご苦労を実感しました。

側枝整理編

3月上旬にまいた種から作った苗を、4月上旬にビニールハウスに定植。
定植してから半月ほどたった様子を見させていただきました。
「おお~!つるが伸びてる~」
しかし、このつる、伸ばしっぱなしにしているわけではないそうです。
メロンは伸ばしっぱなしにしていると、子づるや側枝がたくさん出て来て、花や実がたくさんついてしまいます。それでは管理も大変だし、一つ一つのメロンに栄養が行きません。

そこで、子づるは2本に整理し、不要な側枝を取り除く作業を行います。一つの苗あたりにすると、20個以上の脇芽を手で取り除くことに!
それを全ての苗に対して行うのだからすごいことですよね。

ミツバチ編

お邪魔した4月下旬は、まだメロンの花は咲いていませんが、花が咲いたら、受粉のために働いてくれるミツバチ達を今増やしているのだそう。
箱の中に女王蜂がいて、中に巣を作って、働き蜂を増やしているそうです。
箱の前に置いてあるトレーに砂糖水が置いてあり、それを餌にしています。
「メロンの花が咲いたら、メロンの蜜だけのハチミツができますか?」
とお聞きすると
「いや、メロンの花は蜜が少ないから、砂糖水はずっとあげ続けあんだ」
とのこと。
「この、ミツバチ達って、毎年越冬させるんですか?」
とお聞きすると
「庄内では越冬は難しの、業者から毎年購入すんなや。宅急便でとどくよ」
ミツバチが宅急便で届くなんてびっくり!(しかも幼虫でなく、蜂の状態で届くそう)
おいしいメロンを消費者にお届けするためには、農家の皆さんだけでなく、ミツバチも一所懸命働いてくれていました。

<おまけ>
気になるハチミツですが、そんなにたくさんはとれないので、ご自宅や知り合いに分けて楽しむ程度とのこと。

雄花(おばな)編

「メロンの花が咲いたから、写真撮りさ来い」
と声をかけていただき、取材に行ってきました。
お邪魔した5月上旬は、3月上旬種まきした苗がビニールハウスの中でスクスク育ち、葉っぱの陰に黄色い花が咲いていました!
「この花が全部メロンになるんですか?」
「いや、今咲いているのは雄花(おばな)だから、実はつかねなや。
 将来メロンになる雌花(めばな)は、孫つるにしかつかないから、咲くのは少し後。
 明日には咲くかな」
同じ花でも、メロンになる雌花(めばな)と、メロンにならない花粉だけの雄花(おばな)と、花が2種類あるんですね!
雌花(めばな)は雄花(おばな)と形も少し違うそう。

雌花(めばな)編

5月中旬に、3月上旬種まきした苗の雌花(めばな)が咲いていました。
雌花(めばな)は雄花(おばな)より遅く咲くのだそうです。
「前回見せていただいた雄花(おばな)と見た目の違いはありますか?」
とお聞きすると、
「雌花(めばな)の方が大きなやの。受粉する前でも花の下がふっくらしてるろ?」
この、ふっくらしている部分が受粉後膨らんでメロンになります!
一つのメロンの苗に雌花(めばな)が6個だけになるように、余分な雌花(めばな)は全部手で取り除くのだそう。

メロン成長編1

5月中旬に、雌花(めばな)の開花から約1週間たったハウスの様子を見せていただきました。
青々と茂った葉っぱの下には、ころりと、卵くらいの大きさのメロンが!
「すごい!開花から1週間でこんなに大きくなるんですね!」
「んだ、最初のころは、皮が柔らかいから、どんどと大きくなんなや。」
このころから、メロンの摘果がはじまるそう。
一つの苗に雌花(めばな)が6個になるように調整したので、メロンは6個つきますが、それを最終的に2個取り除いて、4個にする作業を摘果(てきか)といいます。
一つ一つのメロンに十分に栄養が行き、甘くおいしくなるためには欠かせない作業だそう。
この、取り除いたメロンを「メロン子」といい、漬け物にすることもあるそう。

今回見せていただいた赤ちゃんメロン。
次回も同じものを撮影できるよう、目印をつけさせてもらいました。
次回は、どれだけ大きくなっているか楽しみです♪

メロン成長編2

5月下旬に、雌花(めばな)の開花から20日ほどたったメロンの様子を見せていただきました。
10日前はまだつるりしていたメロンが、今回はうっすらとネットがかかり始めていました!
「最近寒い日が続いたせいで、ネットがきれいに入らねなや。
 このメロンは秀だけど、おめ(あなた)が、印つけていったメロンは優だの。」
メロンの規格は、大きさと、外観があって、大きさは5玉(2L)、6玉(LA、L)、7玉(M)などがあり、
※5玉は段ボールにメロンが5個入り、7玉は7個入るという意味
外観は、秀が一番よく、優、良と続くそう。

私が目印をつけさせてもらったメロンは、ネットが一部太く入ってしまったため、残念ながら、2番目評価の優になるだろうとのこと。
メロンの世界、なかなか厳しいですね…。

このメロンの収穫予定は6月下旬!
どうかそれまで、大きく、きれいに育ちますように。

もうすぐ収穫!編

あと、5日~7日ぐらいで収穫するとお聞きして、メロンの様子を見せていただきました。
メロンに近い葉が少し枯れかかってきていました。この葉がもっと枯れると収穫のサイン。糖度を確認するために試し割りをしてから、出荷になるそうです。
「6月上旬にメロンの初出荷のニュースを聞いたのですが、早く出るメロンは、もっと早く種まきしていたのですか?」
とお聞きすると、
「それもあるけど、6月上旬に出るメロンは、暖房を入れるハウス加温栽培だなや。
 6月中旬はハウスの中に、さらに内張りをする栽培方法が出て、6月下旬に今見ているハウス栽培のメロンが出んなやの。その後は、露地(ろじ)のトンネル栽培が出んなや」
とのこと。
メロンを長く、多くの皆様にお届けするために、様々な栽培方法が行われているのですね。

ネットも美しく、大きく育ったメロン。
でも、そんな良いメロンほど、収穫直前にメロンにヒビが入ってしまうことがあるそう。「これはいいな~と思ったメロンほど割れんなやの」とのこと。
収穫直前の気温が急に寒くなると、割れることが多くなるのだそうです。ヒビが入ると、売り物にならないそう。
最後の最後まで、気が抜けないメロン栽培。
あなたに届くまで、もうすぐです!

収穫・選別編

ついに、収穫の日を迎えることになりました。

収穫はなんと、朝の3時から!
まだ暗いなかヘッドランプを付けて作業するそうです。
朝早くから収穫するのは、昼の暑い中収穫すると、メロンが温まってしまい、メロンの保存性が悪くなってしまうからなのだそうです。

収穫後は、外観、大きさで選別し、箱に詰める作業。
機械で大きさごとに区分され、コロコロと転がっていく姿はなんともかわいい!
その後、農協の選果場へ出荷し、全国の皆様のもとへ届けられます。

最終回(おいしい!)

ついに、シリーズ最終回。
一つ試し割りしてみると、糖度は16度。アンデスメロンは糖度14度以上である必要があるので、十分合格♪
「ほれ、食べてみれ」と声をかけていただき、試食させていただきました。
追熟(収穫後5日~7日おいて甘さを増したり、果肉を柔らかくすること)前ですが、とっても甘くおいしくて、お言葉に甘えておかわりもいただいてしまいました!

今回取材して、メロン栽培の難しさ、匠の技ともいえる農家の技術力の高さを実感しました。
手をかけて大切に、大切に育てられたメロン。
全国のみなさんの夏の食卓に、おいしいメロンが届きますように!

庄内砂丘メロンは、スーパー、産地直売所の他、『食の都庄内ネット通販まとめサイト』掲載店でも購入できます。