酒田でできるファームステイ!「農家そば屋 ごすけ」で里山を満喫しよう-前編

2020.11.27

近年人気の高い「グリーンツーリズム」。
グリーンツーリズムとは、農山漁村を訪問し、現地の人々と交流を図りながら農漁業体験を楽しむ余暇形態のこと。既に日本各地で様々な取り組みが行われていますが、自然豊かなここ庄内エリアも、グリーンツーリズムに力を入れている地域のひとつ。
今回は、酒田市平田地域の田沢にある「農家そば屋 ごすけ」の農村宿泊体験、前編です!

宿泊体験の始まりは熊チェックから!?

「農村宿泊体験」といえば、「ファームステイ」とも呼ばれるように、農山漁村など都市以外の地域での滞在をすること。
自然豊かな庄内地方にも、ファームステイを受け入れている場所がいくつか存在します。

今回お邪魔した「農家そば家 ごすけ」はそのひとつ。
酒田市の中でも自然豊かな田沢地区で、「やまがた百名山」に選ばれた胎蔵山(たいぞうさん)の玄関口にもなっている場所にあります。

酒田市中心部から車を30分ほど走らせるだけで、この圧巻の里山風景。
稜線からのぞく丸っこいフォルムが胎蔵山です。

遠くからでも見える「ごすけ」の看板……というか壁が目印です。

「農家そば屋 ごすけ」を切り盛りしているご主人の岩間政幸さんと16時に待ち合わせをしていたのですが、お店の中には人の気配がありません。
岩間さんに電話をすると「今から行きます」とのことで、そのまま店舗前で待っていると、何やら遠くの方からゴウンゴウンという轟音が。

まさかのトラクターで登場するという、衝撃的な初対面でした。
挨拶もそこそこに、岩間さんから「暗くなる前にちょっと見せたいものがあるから、軽トラに乗って」と言われました。
そういえば軽トラに乗るのって初めてだなあと思いながら数分の距離を走った先にあったのは、大きな箱。

岩間さんによると、この箱は熊用の罠だそう。
今年は全国的に熊出没件数が多いことは既にニュースになっていますが、ここ田沢地区も例外ではありません。
つい2、3日前にも一頭かかったのだとか。

周囲には、熊の仕業だと思われる折れた柿の木が。
太い枝がぼっきりと折られているさまは、いやでも熊の力の強さを感じさせられます。

そして、山から続く草地には、人が通れる幅くらいの道ができていたのですが、これは熊が通った跡だそう。
岩間さんによると「体長1メートルくらいの成獣だと思う」とのことですが、草をなぎ倒すほどの大きさの熊が民家のすぐ近くに出現するというのは恐ろしい気がします。

熊の痕跡見学を終えた私たちは、再び「農家そば屋 ごすけ」の建物に戻りました。

昼はそば屋で夜は居酒屋!「農家そば屋 ごすけ」とは

のれんをくぐった先にある「農家そば屋 ごすけ」の店内には、昔懐かしい雰囲気が漂っていました。
畳敷きのスペースには、テーブルが2卓とカウンターがあり、壁には様々なメニューや写真が飾られています。
この他に、もう一部屋宴会スペースがあるというのですから、結構な人数の受け入れが可能です。

昼には手打ちそば・手打ちラーメンを提供し、夜は居酒屋に変貌するという「農家そば屋 ごすけ」。
店内に貼られたメニューを見ていると、岩間さんおひとりで経営されているとは思えないほどの豊富さに驚いてしまいます。
「当店オリジナルかぼちゃピザ」という気になるものもあったのですが、「10名様以上の団体に最適!」とのことなので、今回はやめておきました……

店主の岩間さんは、「農家そば屋 ごすけ」がある田沢生まれの田沢育ち。
元々は稲作となめこ栽培を行う農家でした。しかしバブルが崩壊して後、なめこ栽培に陰りが見えたことから、栽培小屋を店舗に改造することを決めました。
とはいえ、料理の経験がなかった岩間さんは酒田市内の居酒屋などで修行をし、また店舗設備に関しては近くのダム建設現場で不要になった機器を格安で譲ってもらい、ご自身で設置をしたそうです。
「昔は農家と建設業の掛け持ちは当たり前だったから、ある程度の工事はできる」という岩間さん。
その後、そば打ちとラーメン研究を重ね、現在の「農家そば屋 ごすけ」となりました。

今年は新型コロナウイルスの影響で難しい状況ですが、例年であれば、そば屋と居酒屋のお客さんに加え、農村宿泊体験希望者もひっきりなしに訪れるそうです。
県内からの宿泊者はもちろん、首都圏から電車を乗り継いでやってくる家族連れもいるのだとか。

また、単に里山に宿泊するだけでなく、様々な体験ができるところも「ごすけ」の魅力。
春から初夏は田植え、夏は川遊び、秋は稲刈りや野菜の収穫、冬期間以外のトレッキングといった自然の中でのアクティビティに加え、そば打ちやラーメン打ちも体験できるという、何泊しても飽きないプログラムが揃っています。
とはいえ私が伺ったのは11月中旬。稲刈りもすっかり終わった農閑期であったため、農業的な体験はありませんでした。

その代わりということで、私に待っていたのは「握り寿司体験」でした。

初めてづくしの農村宿泊体験にワクワク

自慢ではありませんが、私は一度も魚をおろしたことがありません。
しかし、魚を捌くところから「握り寿司体験」は始まっていたのです。

5人以上はゆうに調理ができるくらい広い厨房の中で、マンツーマンで岩間さんに教えていただきます。
鱗の取り方、包丁の入れ方、身の外し方、皮の剥き方など、料理教室に行かなければ詳しく習うことができないような内容を、実際に手を動かしながら、質問しながら学べるのはとっても贅沢な体験です。

「握り寿司体験」と言うからには、すし飯も重要。
こちらもすし酢の調合から教えて頂きました。岩間さんによると、何と銀座にある某有名寿司屋と同じレシピなのだとか。
熟練の岩間さんは軽やかに右手のしゃもじ、左手のうちわを操りますが、私はというとどうしても右と左の手が同じ方向に動いてしまい、なかなかうまくいきませんでした。

その後、寿司の握り方を習い、無事にお寿司が完成しました。
この日のネタは、鯛、サンマ、アジ。全て捌きたて、握りたての新鮮さ。

その後、焼き鳥用の串を刺す体験も。
鶏皮とネギだったのですが、弾力のある鶏皮をうまく串にまとめるのが至難の業。
「初めてなのに上手」とほめ続けてくれる岩間さんに励まされて、何とか串も完成しました。

この日の夕食は、岩間さん、そして近所に住む岩間さんのお友達2人と一緒に、まずは体験で作ったお寿司を囲みました。
そしてお寿司の隣にある鍋は何かというと……

何と、熊鍋。
熊肉を一度も食べたことがないと言った私のために、岩間さんが準備してくださった一品です。

仕掛けた罠にかかった後、地元の猟友会から分けてもらうという熊肉。
どんな味がするのか戦々恐々でしたが、獣臭いこともなく、とはいえ鶏肉や豚肉とは異なる野性味が癖になりそうでした。

ふと足元を見ると、看板猫の茶虎(チャトラ)の姿がありました。
初めての人にも気軽に近づいてくる人懐こさ。
岩間さんと岩間さんのお友達、そして茶虎に囲まれ、里山の夜は静かにふけて行きました。

「農家そば屋 ごすけ」情報

屋号:「農家そば屋 ごすけ」
代表者名:岩間 政幸
住所:山形県酒田市田沢寺の下37
電話番号:0234-54-2766
Email:gosuke@kzf.biglobe.ne.jp
宿泊体験営業期間:通年。1日1組3名まで。
宿泊体験料金:1泊7,000円/人(3食付き)
その他体験メニュー:そば打ち体験1,200円/人、本格手打ちラーメン体験1,200円/人など。
そば屋営業時間:11:00~14:00、17:00~23:00(夜は、客入り次第で閉店が早まる場合もあり。電話確認がベター)
そば屋メニュー:ざるそば850円、鴨そば1,000円、醤油ラーメン600円など
備考:訪問時期により体験内容が変わるため、要問合せ。そば打ち/本格手打ちラーメン体験は通年。出張もあり。