現地ガイドさんと一緒に、一味違う酒田の街歩き

2021.10.27

知らない土地を観光で訪れた時、地図やガイドブック片手に巡るのも楽しいですが、その土地に詳しい人から案内を受けたいなと思うことはありませんか?

酒田市の中心市街地には山居倉庫をはじめとした観光スポットが点在していますが、初めて訪れる場合、「まずどこを訪れるべき?」、「ルートは?」など考えてしまうのではないでしょうか。見学時間の制約があるなら、なお更ですよね。

そんな悩みを解消してくれるのが、「酒田市観光ガイド協会」のガイドさんによる案内。楽しい小話を交えながらの街歩きは、思い出に残ること間違いなしです。

今回は、「酒田市観光ガイド協会」会長の佐藤恒夫さんと一緒に、酒田街歩きをしてきました!

街歩きの強い味方!「酒田市観光ガイド協会」とは

今回ガイドを務めてくださった佐藤恒夫さんが所属する、「酒田市観光ガイド協会」。現在は28名のガイドの方が在籍しており、酒田を訪れるお客様に歴史や見どころの案内をしています。

料金は1時間1,000円。予約は、酒田市観光ガイド協会が所属する「酒田観光物産協会」宛てに電話・FAX・メールのいずれかで可能ですが、ルートの相談や提案がすぐにできるので、電話がおすすめとのこと。また、コースは応相談であるため、行きたい場所がはっきり決まっていない場合は「おまかせで」というリクエストもできます。「歴史が好き」・「神社仏閣が見たい」など、自分の好みを予約時に伝えておくのも良いかもしれません。

時間に関しては、「お客様の要望に応じますがどの史跡でも一時間は必要ですが、逆に長い分には何時間でもOKです」とのことでした。自分の持ち時間に合わせてガイドをお願いできるのは、色々予定を詰め込みたい旅行中にも便利ですよね。

さて、今回私はというと、酒田市在住ではありますが「酒田を初めて観光しに来たので、2時間くらいのコースで行き先はお任せ」という行程にしていただきました。では早速、佐藤恒夫さんと街歩きに出発です!

まずは「山居倉庫」から街歩きスタート

ガイドの佐藤さんとの待ち合わせは、つい最近、国指定史跡になった山居倉庫。街歩きもここからスタートです。酒田市観光ガイド協会に所属するガイドの方々は、首からガイド証を下げ、「酒田市観光ガイド協会」という文字が入ったユニフォームを着ているため、待ち合わせの時も見つけやすいですよね。

今日のコースは、山居倉庫を一通り見学してから徒歩で街の中心に向かい、本間家旧本邸前から酒田市役所前を抜け、日和山公園まで行くという酒田満喫コース。まずは最初の山居倉庫から説明をしていただきます。

何やら佐藤さんが取り出したのはガイド用の資料。歴史好きな方へ詳しく説明する時に使うそうです。逆に、「前の晩に飲みすぎて二日酔いのお客様に説明するための簡単バージョンもあります」とのこと。ちなみに今回はベーシックな説明にしていただきました。

「1893(明治26)年、北前船で運ぶ米の貯蔵倉庫として建てられた山居倉庫は、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」の撮影地にもなった場所。また、今私たちが立っているケヤキ並木では、女優の吉永小百合さんがモデルとなったJRの『大人の休日倶楽部』の撮影も行われました。元々は舗装されていなかったケヤキ並木ですが、観光客、特に『おしん』に感銘を受けたアジア圏のお客様が多く訪れたため、樹々の根の保護のために石畳が敷かれました……」と、歴史や芸能ニュースを織り交ぜたわかりやすい説明はさすがの一言。

さらには、「ここでしゃがむと、綺麗に山居倉庫の写真が撮れます」、「JRのポスター撮影に来た吉永小百合さんが立ったのはこの三角の石です」など、ガイドさんがいなければ知ることができないような小話が次々と飛び出します。

酒田の街なかにもエピソードがいっぱい

山居倉庫の見学を終えて街中へ移動する途中、とある角で振り返るように言われました。そこは、脚本家の故・橋田寿賀子さんが酒田を訪れた時、吹雪の中に浮かぶ山居倉庫を見て「おしん」の舞台にすることを決めた場所なのだとか。

ガイドの方と一緒に歩いているからこそ立ち寄ることができるスポットも多数。通り道にあった「酒田町奉行所跡」は、存在は知っていましたが私も入るのは初めてでした。酒田市役所前では、「酒田のまちづくりと三十六人衆」のパネルに描かれた酒田の古地図を元に、現在との位置関係の説明が。また、日和山公園にいく途中の、ブランコがあるただの小さな公園だと思っていた「本町公園」が、実は明治天皇が巡幸の際に宿泊した建物があった場所ということも初めて知りました。

神社の木陰を通りぬけて日和山公園へ到着

続いての目的地は、高台にある日和山公園。佐藤さんに案内されて小道から階段を上ると、背後には酒田港、そして前方には神社が現れました。ここも私にとっては初めての場所。佐藤さんによると、「ここは昔、船乗りたちが船旅の無事を神社に祈るときに上った階段」なのだそうです。

敷地内には鳥居やお社が点在。北前船交易で栄えた湊町だったこともあり、大漁とイボ取りにご利益があるとされる「蛸薬師の石塔」や、千石船で実際に使われた大きな錨など、船や漁にまつわるものが多いのも特徴かもしれません。(ちなみに、写真の中で佐藤さんが指をさしているのが「蛸薬師の石塔」です)

そして神社の脇の階段を上ると、そこは日和山公園。いつもと違うルートでたどりついたためか、何だか初めて来た場所のように感じられました。

酒田市内のことを少しは知っているつもりになっていた私ですが、様々なスポットを詳しく説明してくださる佐藤さんの知識量には圧倒されてしまいました。それだけでなく、佐藤さんによると「その日のお客様の雰囲気や好みを話しながら探り、それによって目的地やルートを変えることもある」のだとか。それは大変そう……と私などは思ってしまったのですが、佐藤さんによると、それもこれも全てはお客様に酒田で楽しい時間を過ごしてもらう「おもてなしガイド」を大切にしているからなんだそうです。

観光客だけでなく地元の人も楽しめる街歩きガイド

歩いたことがない道を歩き、行ったことがない場所を訪れ、知らなかったまちのエピソードを色々聞くという街歩き体験。およそ2時間のコースは、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

ガイドの最後に、佐藤さんからこんな素敵なプレゼントが。酒田市のキャラクター「もしぇのん」と酒田の名所の写真が入った、酒田市観光ガイド協会のオリジナルうちわ。ガイドをお願いすると記念としていただけるとのことですが、先着順なので気になる方はどうぞお早めに。

ガイドブックには書かれていない生きた情報を手に入れられるのが、ガイドの方と一緒に回る醍醐味。観光の方はもちろんのこと、酒田が地元というひとにも一度は是非ガイドさんと一緒の街歩きを試していただきたいなと感じました。自分たちの住んでいるまちの、新たな顔を知ることができるかもしれませんよ。


■酒田市観光ガイド協会
連絡先:一般社団法人酒田観光物産協会
住所:〒998-0838 山形県酒田市山居町1-1-20
営業時間: 9:00~17:00
TEL:0234-24-2233
FAX:0234-24-8350
E-mail:info@sakata-kankou.com
ガイド料金:1,000円(1時間)
※ガイド希望日の5日前まで要予約。
※予約は電話・FAX・メールで可能だが、コース希望などを伝えられるため、電話がおすすめとのこと。
※支払いは現金で、ガイドツアーの最後にガイド宛てにお支払いください。(領収証も発行可。)

<ライター紹介>

ライター:ガンバリーニ杏子
神奈川県鎌倉市出身。2018年3月にフランス人の夫とともに酒田市に移住。
ライター仕事や翻訳・通訳業、ブログ「ボンジュール庄内」運営のかたわら、2020年6月より酒田市中心商店街にボードゲームカフェ&バー「Chez Pierre(シェ・ピエール)」を夫とともにオープン。北庄内地域通訳案内士の資格も所持。愛猫の「ぽんぽん」に齧られるのが日課。

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