刈屋の梨は一味違う!酒田で美味しい秋の味覚に出会う

2021.11.11

「秋の果物」といえば、梨に柿、ぶどうなど様々ですよね。その中でも今回は、梨に注目したいと思います。

私が住んでいる酒田市は梨栽培が盛んな地域。特に、刈屋地区で生産される通称「刈屋梨」は、近年ではブランド梨としてメディアにも取り上げられるほど有名になりました。

そんな刈屋梨とは、一体どんなものなのでしょうか?今回は、刈屋地区で代々梨農家を営む「三浦八右衛門果樹園」にお邪魔して、4代目の三浦雅明さんから色々とお話を聞いてきました。

刈屋地区で120年の歴史を持つ三浦八右衛門果樹園

山形県の北西部に広がる庄内平野。米どころとしても有名ですが、その一角にある酒田市刈屋地区は、全国的にも有名な梨の産地。その刈屋地区に、今回訪問する三浦八右衛門果樹園はあります。

酒田市中心部から車で20分ほどの距離にある刈屋地区。周辺には畑や田んぼが広がり、天気が良い日には鳥海山が綺麗に見えるのどかな場所。

住所に従い三浦八右衛門果樹園を目指していたところ、「八右エ門」という大きな看板を発見。これは初めて訪れる時にもわかりやすいですよね。

そして、看板に向かって右奥に三浦八右衛門果樹園の建物があります。車で来た場合、建物手前のスペースに駐車して良いとのことですが……平日だというのに後から後から車がやってきます。

それもそのはず、建物内では採れたての刈屋梨が所せましと並べられ、販売されています。しかも、その時の旬の品種や味、食感などを果樹園の方から直接聞きながら買い物ができるとあっては、沢山の人が訪れるのも納得ですよね。

ここ刈屋地区で梨栽培が始まったのはおよそ120年前。梨農家の数はだんだんと減っているものの、現在は30軒ほどあるそうです。そして三浦八右衛門果樹園は、刈屋の歴史の最初から代々梨栽培を行っており、現在は4代目の八右衛門である三浦雅明さんが陣頭指揮をとっています。

三浦八右衛門果樹園では、和梨を10品種ほど、洋梨を3~4品種ほど生産しており、8月下旬頃から出回る「幸水」に始まり、12月下旬頃まで食べられる「新興」まで、様々な品種がその旬に合わせて登場します。

「TVなどで“刈屋梨”って紹介されるから、“刈屋梨をください”って言われることもあるけれど、“刈屋梨”っていう品種は存在しない」と言うのは三浦さん。何でも、刈屋地区で生産された梨は和梨・洋梨問わず「刈屋梨」で、梨の種類としては他の地域で生産されている品種と同じ、なのだそうです。

では何故、刈屋の梨はこんなにも美味しいと評判なのでしょうか。

何で刈屋の梨はおいしいの?その答えは……

三浦さんによると、刈屋の梨の美味しさは何といっても土がいいことだそうです。

何でも、刈屋の地域ではかつて頻繁に洪水が発生し、水がひくたびに残された土が積み重なって今の土壌ができあがったとのこと。水はけが良いと同時に、天気が良く乾燥した日でも土に若干の湿り気があるため、長梅雨や空梅雨など梨の栽培に難しい気候になったとしてもちゃんと梨の味をだしてくれるのだとか。

そして、冬の庄内地方といえば思い起こされるのが日本海からの強い風。天候が荒れた時は潮風を含んだ雪が木の枝につき、それが地面に落ちるとミネラルとなって土に吸収されることも、刈屋梨の味の重要な決め手なのだそうです。

次に、梨づくりに理想的な土壌を持つという梨畑を見せていただきました。

鳥海山も見える広大な畑

三浦八右衛門果樹園の畑は母屋から徒歩3分くらいのところから始まり、どこまでが敷地なのかわからないほどの広大さです。

私が訪れたのは9月下旬だったのですが、木によってはすでに収穫済のものもあれば、これから収穫を迎える品種も。三浦さんによれば、木になっている梨が一番多い時期は9月の初め、幸水の頃だそうです。

お話を伺いながら畑から続く坂を登ると、視界の先には鳥海山!その麓に広がる梨畑は圧巻の景色です。

畑の間を歩いていると、ランダムに銃声のような音が聞こえてくるのですが、梨を狙う鳥を威嚇するためにスピーカーから流しているのだとか。わりと大きな音なので、びっくりしないでくださいね。

ちなみに広大な畑をもつ三浦八右衛門果樹園ですが、時期によっては完全予約制(原則として10名以上)で梨狩りを受付することもあるのだそうです。

タイミングとしては、8月下旬~9月中旬の幸水の時期や9月下旬~10月上旬の豊水の時期とのことですが、ただ、その年の出来などにも左右されるため必ずしも梨狩りをやっているとは限らないそうです。興味がある方は、まずは三浦八右衛門果樹園に問い合わせてみてくださいね。

そして私はというと、今回、少しだけ梨狩りを体験させていただきました。

品種は10月上旬から旬を迎える「あきづき」。大きな果実をそっと持ちそのまま上に持ち上げると、ぽろっと実をもぐことができます。そんなに難しくはないので、子どもと一緒でも楽しめそうだなと感じました。

ただ、触ってしまった梨の実は翌朝には落ちてしまうそうなので、触るのは持って帰る実だけにしてほしいとのこと。梨狩りを体験される方、梨園で写真を撮る方はどうぞご注意ください。

刈屋の梨を楽しむには直売所が便利!

美味しいと評判の刈屋梨。庄内エリアではスーパーや産直でも販売されますが、新鮮さも折り紙つきの梨農家の直売所は、産地ならではのおすすめ。

三浦八衛門果樹園では、全国発送する刈屋梨の詰め作業を行う傍ら、その場で販売も行っています。値段はキロ単位で記載されているものの、実際は1個からでも購入可能なのが嬉しいところ。

せっかくなので私も自分用に買ってみることに。ついでに美味しい梨の見分け方を三浦さんに聞いてみたのですが……「お店に並んでるものは大抵おいしい」そうなので、ちゃっかり三浦さんを頼ってみました。梨といっても品種によって味も食感も異なるので、自分の好みを伝えたりプロにオススメを聞いたりできる直売所はありがたいですよね。

三浦八衛門果樹園の直売所は、近隣にもう一つあります。

「おいしい刈屋の梨」というモニュメントのすぐ近くにあるのですが、道路沿いであるため車で行く方はこちらの方が行きやすいかもしれません。

嬉しいのは、果樹園の建物内も道沿いの直売所も、どちらでも全国発送を受け付けていること。クール宅急便ですぐに発送してもらえるので、新鮮なまま相手方に到着します。私も神奈川県の実家宛てに送ってみたのですが、夕方頃に発送をお願いした梨が翌朝午前には現地に到着したことには驚きました。

ここ最近、すっかりブランド化が進んだ「刈屋梨」。今年は梨の旬はだいぶ過ぎてしまいましたが、是非来年は刈屋地区を訪れ、刈屋の梨を食べてみてください。

また、「刈屋までは遠くてなかなか行けない」という方は、是非三浦八右衛門果樹園のホームぺージでオンラインショップをチェックしてみてください。

瑞々しくジューシーな刈屋梨は、今まで食べてきた梨の概念を覆すかもしれませんよ。


【三浦八右衛門果樹園】
代表者:三浦雅明
住所:山形県酒田市刈屋字東村15
電話:0234-28-2162
FAX:0234-28-2162
メール:mam@cameo.plala.or.jp
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