【観光の舞台裏vol.5】庄内飛龍會 会長 柿崎 淳
2021.01.29庄内の観光に携わる“人”にフォーカスして、その舞台裏をインタビューする「観光の舞台裏」シリーズ。第五回目の舞台は、庄内エリアを中心にイベントやお祭りで“龍の舞”を披露する「庄内飛龍會」です。
金色の角、見開いた目。全長約25メートルの巨大な龍が口から煙を出し、大きくうねりながら駆け抜ける“龍の舞”。はじめは、庄内町でのみ活動していましたが、迫力のある演舞が人気となり徐々に活躍の場を拡大。近年では酒田港にクルーズ船が寄港した際のセレモニーや、山形市で行われる「まるごと山形 祭りだわっしょい」などのイベントにも出演するようになり、庄内外で多くの人々を魅了しています。
そこで今回は、庄内飛龍會の現会長を務める、柿崎淳さんにお話を伺いました。
庄内飛龍會とは
庄内飛龍會の始まりは、1990年代前半に遡る。その昔、旧余目町の金沼に住んでいた荒れ狂う龍を一人の村娘が沈め、改心した龍が金峰山の権現となり人々を救ったという “飛龍伝説”をモチーフに、当時の商工会青年部のメンバーが発砲スチロールで巨大な飛龍を制作し、「余目まつり」で担いだのがきっかけだった。
そして2003年(平成15年)、現在の姿の飛龍を新たに制作。同じ年に地元庄内町の有志が集い「飛龍保存会」が発足した。その後、「余目まつり」や「夏宵まつり」などの庄内町のイベントを中心に活動していたが、次第に各地のイベントに招待されるように。2018年には「庄内を代表するパフォーマンスになるように」という想いから、名前を「庄内飛龍會」に改めた。
現在の会員数は総勢約70名。地元庄内町在住者が大半だが、鶴岡市、酒田市など庄内エリア全域からもメンバーが集う。ここ数年は龍の舞だけでなく、女性メンバーによる踊りにも力を入れているという。
そして2003年(平成15年)、現在の姿の飛龍を新たに制作。同じ年に地元庄内町の有志が集い「飛龍保存会」が発足した。その後、「余目まつり」や「夏宵まつり」などの庄内町のイベントを中心に活動していたが、次第に各地のイベントに招待されるように。2018年には「庄内を代表するパフォーマンスになるように」という想いから、名前を「庄内飛龍會」に改めた。
現在の会員数は総勢約70名。地元庄内町在住者が大半だが、鶴岡市、酒田市など庄内エリア全域からもメンバーが集う。ここ数年は龍の舞だけでなく、女性メンバーによる踊りにも力を入れているという。
常に飛龍とともに
代表の柿崎さんは、旧余目町(現庄内町)出身。幼い頃から人前に立つのが苦にならないタイプで、学校のイベントなどで仕切り役を買って出たりしていたという。高校卒業後の1993年(平成5年)、建築関係の勉強をすべく、東京の専門学校へ。その後東京のガラス建材施工店に就職して約3年修行をしたのち、1998年(平成10年)に23歳で庄内町に戻り、家業である「柿崎建具店」にて働き出した。
庄内町に戻ってすぐ、商工会青年部へ加入。そこで飛龍と出会う。最初は一担ぎ手として携わっていたが、庄内町の青年部長、そして県の商工会青年部連合会会長を務めた経験もあってか、周りに勧められ2016年(平成28年)に飛龍保存会の5代目会長に就任した。
庄内町に戻ってすぐ、商工会青年部へ加入。そこで飛龍と出会う。最初は一担ぎ手として携わっていたが、庄内町の青年部長、そして県の商工会青年部連合会会長を務めた経験もあってか、周りに勧められ2016年(平成28年)に飛龍保存会の5代目会長に就任した。
龍の上から見える景色に魅せられて
「飛龍會のメンバーは休日も忙しい方が多く、会員数は多いけれどなかなか全員参加にはならないんです。」
活動する中での苦労を訪ねると、柿崎さんはこう答えた。
巨大な飛龍を担いでパフォーマンスするには、最低でも25人は必要だ。しかし、自営業をしていて土日休みではないメンバーも多い中、人員確保は至難の技。せっかくオファーを受けたイベントも人数が足りず、残念ながら出られないということもしばしばだという。
さらに、会員数が多い分、時には会員同士の意見がぶつかり合うことも。積極的に活躍の場を広げていきたいと思う人もいれば、今までのように町内のイベントを中心に活動していったほうが良いという考えの人もいる。それぞれに立場や事情があるので、一概に「こうすべき」だけで進めることはできない。
そんな苦労があってもなお続けられるのは、やはり龍の舞を見に来てくれた方から「すごい」「感動した」という声を聞けるからだという。ここ数年はこの龍を見に、わざわざ遠くからイベントに駆けつけてくるファンもいる。
「何度やっても、やっぱり龍の頭の上から大勢の観客を眺めるのは気持ちがいいですね。」
柿崎さんはそういってはにかんだ。
活動する中での苦労を訪ねると、柿崎さんはこう答えた。
巨大な飛龍を担いでパフォーマンスするには、最低でも25人は必要だ。しかし、自営業をしていて土日休みではないメンバーも多い中、人員確保は至難の技。せっかくオファーを受けたイベントも人数が足りず、残念ながら出られないということもしばしばだという。
さらに、会員数が多い分、時には会員同士の意見がぶつかり合うことも。積極的に活躍の場を広げていきたいと思う人もいれば、今までのように町内のイベントを中心に活動していったほうが良いという考えの人もいる。それぞれに立場や事情があるので、一概に「こうすべき」だけで進めることはできない。
そんな苦労があってもなお続けられるのは、やはり龍の舞を見に来てくれた方から「すごい」「感動した」という声を聞けるからだという。ここ数年はこの龍を見に、わざわざ遠くからイベントに駆けつけてくるファンもいる。
「何度やっても、やっぱり龍の頭の上から大勢の観客を眺めるのは気持ちがいいですね。」
柿崎さんはそういってはにかんだ。
新たな祭りの開催に向けて
庄内飛龍會は今、新たな挑戦の真っ最中である。それは、庄内町をあげての新たな祭り「しょうない氣龍祭」の開催だ。
庄内町は16年前に旧余目町と旧立川町が合併して誕生。以降、町全体で取り組む夏祭りがなかったこともあり、町としても観光の目玉として新たな祭りを作りたいという想いがあった。そこで、旧余目町の"飛龍伝説"、旧立川町の"龍神伝説"という二つの伝説の共通項である"龍"を活用した祭りを開催するため、庄内飛龍會をはじめ、あまるめ飛龍太鼓、踊り団体、そして町観光協会などが主体となって「龍(どら)まちっくプロジェクト」がスタートしたのである。
当初は昨年2020年夏の開催に向けて調整を進めていたが、残念ならコロナウイルスの影響で開催は中止に。現在は今年2021年の夏開催を目指して準備をすすめているという。
この祭りの一番の目玉は、今回のためにリニューアルする「飛龍」と、一から制作する「姫龍」による新たな“龍の舞”だ。飛龍は見かけがよりスタイリッシュになるほか、全長約40メートルとこれまでより大幅にサイズアップする。姫龍は現在の飛龍とほぼ同等の機能を備えるが、女性でも担ぎやすいよう軽量化等の工夫がなされる。また、両方の龍の胴体部分には、町民から集まった“願い事”が刻まれる予定だという。
すでに龍の顔部分は完成しており、昨年の秋からしばらくの間余目駅前に展示もされた。見た人からは「何これ?!」「カッコいい!」との声も多く、来年の開催に向けてますます期待が高まっている。
「1人でも多くの町民に関わってもらいたい。そして、子どもたちがふるさとを誇りに思えるような祭りにしたい。」
新たな祭りの舞台で、飛龍に乗って全力で駆け抜ける柿崎さんの姿を見るのが、今からとても待ち遠しい。
【団体情報】
団体名:庄内飛龍會(しょうないひりゅうかい)
公式Facebook
庄内町は16年前に旧余目町と旧立川町が合併して誕生。以降、町全体で取り組む夏祭りがなかったこともあり、町としても観光の目玉として新たな祭りを作りたいという想いがあった。そこで、旧余目町の"飛龍伝説"、旧立川町の"龍神伝説"という二つの伝説の共通項である"龍"を活用した祭りを開催するため、庄内飛龍會をはじめ、あまるめ飛龍太鼓、踊り団体、そして町観光協会などが主体となって「龍(どら)まちっくプロジェクト」がスタートしたのである。
当初は昨年2020年夏の開催に向けて調整を進めていたが、残念ならコロナウイルスの影響で開催は中止に。現在は今年2021年の夏開催を目指して準備をすすめているという。
この祭りの一番の目玉は、今回のためにリニューアルする「飛龍」と、一から制作する「姫龍」による新たな“龍の舞”だ。飛龍は見かけがよりスタイリッシュになるほか、全長約40メートルとこれまでより大幅にサイズアップする。姫龍は現在の飛龍とほぼ同等の機能を備えるが、女性でも担ぎやすいよう軽量化等の工夫がなされる。また、両方の龍の胴体部分には、町民から集まった“願い事”が刻まれる予定だという。
すでに龍の顔部分は完成しており、昨年の秋からしばらくの間余目駅前に展示もされた。見た人からは「何これ?!」「カッコいい!」との声も多く、来年の開催に向けてますます期待が高まっている。
「1人でも多くの町民に関わってもらいたい。そして、子どもたちがふるさとを誇りに思えるような祭りにしたい。」
新たな祭りの舞台で、飛龍に乗って全力で駆け抜ける柿崎さんの姿を見るのが、今からとても待ち遠しい。
【団体情報】
団体名:庄内飛龍會(しょうないひりゅうかい)
公式Facebook
<ライター紹介>
地元ライター:國本 美鈴(くにもと みすず)
埼玉県深谷市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、都内の情報・通信系企業にて新規事業立ち上げやメディアの編成・PR等を担当したのち、2019年7月〜庄内に移住。現在、庄内町地域起こし協力隊観光PR担当として、イベントの企画やSNS等を活用した地域の情報発信などを行うほか、北庄内地域通訳案内士の資格も持つ。これまで訪問した国は45カ国という大の旅好き。庄内の魅力を県内外、そして海外の人にも発信すべく奮闘中!
【作成記事】
・日本史好き必見!徒歩で行く“歴史の里”きよかわ観光ガイドツアー
・まるで天空散歩!美しい高山植物に出会える月山八合目弥陀ヶ原ガイドツアー
・まだ知らない羽黒山に出会える?!地元ガイドによる羽黒山ツアー
・神秘の泉に魅せられる!庄内屈指の映えスポット・丸池様
・絶品“酒田フレンチ”で思わず笑顔がこぼれるひと時を−「Restaurant Nico」
・出羽三山の恵みをいただく“おいしい修行”−羽黒山参籠所「斎館」
・今更聞けない!?日本有数のパワースポット、出羽三山とは
・働くを楽しもう♪庄内のワーケーションスポット
・女子旅におすすめ!ちょこっと寄れる日帰り温泉&足湯カフェ
・みんな違ってみんな良い!庄内エリア道の駅特集
・日本酒だけじゃない!庄内でワインを楽しめるスポット
・徒歩&公共交通機関で行ける!酒田市 町歩きスポット
・親も子も大満足!庄内“子連れ旅”おすすめスポット
・【観光の舞台裏vol.8】藤島歴史公園「Hisu花」ワークショップ リーダー 井上夏
・【観光の舞台裏vol.7】山伏/出羽三山宿坊 養清坊 当主 星野 博
・【観光の舞台裏vol.6】時を奏でる宿 若葉旅館 若旦那(専務取締役) 矢野 慶汰
・【観光の舞台裏vol.4】「菜の花まつり」事務局 三川町観光協会 今野 徹・澤田 佳子
・【観光の舞台裏vol.3】道の駅鳥海ふらっと駅長 白畑 正照
・【観光の舞台裏vol.2】舞娘茶屋「相馬樓」芸妓 小鈴
・【観光の舞台裏vol.1】加茂水族館ボランティアガイド「岩ゆり」会長 石名坂績
埼玉県深谷市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、都内の情報・通信系企業にて新規事業立ち上げやメディアの編成・PR等を担当したのち、2019年7月〜庄内に移住。現在、庄内町地域起こし協力隊観光PR担当として、イベントの企画やSNS等を活用した地域の情報発信などを行うほか、北庄内地域通訳案内士の資格も持つ。これまで訪問した国は45カ国という大の旅好き。庄内の魅力を県内外、そして海外の人にも発信すべく奮闘中!
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