【観光の舞台裏vol.3】道の駅鳥海 ふらっと 駅長 白畑 正照

2020.11.30

庄内の観光に携わる“人”にフォーカスして、その舞台裏をインタビューする「観光の舞台裏」シリーズ。第三回目の舞台は、庄内エリアきっての人気道の駅・「道の駅鳥海 ふらっと」です。

山形県の最北、名峰鳥海山を有する遊佐町にある道の駅鳥海 ふらっと。施設内には農産物直売所、鮮魚直売所、特産品売場をはじめ、海の幸・山の幸をその場で楽しめるお食事どころもあり、遊佐町の自然が育んだ美味しい食材をまるごと楽しめるスポットとなっています。

今回は、道の駅鳥海 ふらっとにて駅長を務める、白畑正照(しらはた・まさてる)さんにお話を伺いました。

「道の駅鳥海 ふらっと」とは

道の駅鳥海 ふらっとは、交流人口の拡大と地域の活性化を目的として平成9年(1997年)にオープン。“笑顔と真心をモットーに、お値段も半音(♭=ふらっと)お下げして”遊佐町の地場産品等を提供することをコンセプトとしており、実は名前の「ふらっと」はそこから取っている。

オープン当時、鮮魚の直売所がある道の駅は全国でも珍しかった。今ではすっかり庄内の夏の風物詩となっているが、遊佐町吹浦産の天然岩ガキをその場で剥いて提供しはじめたのもここだったという。
遊佐町では当時ほかに農産物や鮮魚の直売所がなかったことも後押しして徐々に客足が伸び、今では年間200万人以上が訪れる庄内エリアきっての人気の道の駅へと成長した。

お客様と道の駅、遊佐を繋ぐレールのように

「ここの塩辛は、店長自ら朝作った限定品なんですよ。今はまだありますけど、いつもすぐ売り切れます。」
「このパンは季節限定のもので、エリンギとデミグラスソースが入ってるんです。」

道の駅の中を案内しながら、白畑さんは堰を切ったように各店舗のおすすめの商品や推しポイントを語り出した。
元々観光業に興味があったこともあり、平成16年(2004年)に道の駅鳥海 ふらっとを運営する遊佐町総合交流促進施設株式会社に入社した。同社が運営するほかの観光関連施設で経験を積んだのち、5年前に道の駅鳥海 ふらっとの担当となり、2年前から駅長を務めている。

これまで担当した施設は温泉施設、宿、キャンプ場など道の駅とは業態が全く異なるため、異動した当初はどう接客すれば良いのか戸惑うことも多かったそうだ。しかし今ではそんなことを微塵も感じさせない語り口に、思わず私もおすすめされた商品を手に取ってしまうほどだった。

「駅長」と聞くといわゆる象徴的な存在で現場仕事はやらないイメージがあるが、白畑さんはむしろ真逆だ。蛍光灯の交換から売り上げや人の管理まで、必要なことはなんでもやる。
時にはお客さまにおすすめのスポットを聞かれたときいつでも答えられるようにするため、町内の観光名所に自ら足を運ぶこともあるという。

「お客さまからお礼の電話をもらったりした時が一番やりがいを感じますね。」

彼の“お客様を喜ばせたい”という強い想いが垣間見えた。

モットーは“現場目線”

お客様に喜んでいただくために白畑さんが心がけているのは、従業員の方が笑顔になれる環境づくり。こちらが笑顔でないとお客さまを笑顔にはできない、そう白畑さんは語る。

そのために意識しているのは、社員間の風通しの良さだ。
道の駅鳥海 ふらっとでは地元の特産品を使ったオリジナルメニューが売りだが、新しいメニューの考案は全て現場のスタッフに任せているという。

「何がちょうどいいのかは、売り場が一番わかっているので。できたものを試食してみて、こうした方がいいんじゃないと言うことはありますけどね。」

まずやらせる。必要であればサポートをする。
この現場目線が、結果的に道の駅鳥海 ふらっとの人気を支えているのかもしれない。そう感じられるエピソードだった。

with/afterコロナ時代に向かって

今道の駅鳥海 ふらっとは、未だかつてない試練の時を迎えている。
新型コロナウイルスの影響で、年間を通して一番の書き入れ時であるはずのGWに全館の営業を自粛。その後営業は再開するも、時間を短縮しての営業を余儀なくされた。

現在は毎日スタッフの検温を行い、マスクやアルコール消毒を徹底。お客様用の消毒液やパーテーションも完備して感染対策を行なっている。以前には遠く及ばないが、客足も徐々に戻ってきつつある。

「今は辛抱する時期。やれる限りのことはやって、なんとか乗り越えていこうと思っています。」

こんな時こそ笑顔と真心を忘れずに。誰よりも現場に近い駅長が、今日も皆さんを待っている。


【施設情報】
施設名:道の駅 鳥海 ふらっと
住所:〒999-8531 山形県飽海郡遊佐町菅里菅野308−1
アクセス:日本海東北自動車道 酒田みなとI.Cから車で約20分、象潟仁賀保道路 金浦I.Cから車で約30分
電話:0234-71-7222
駐車場:あり
駐車料金:無料
営業時間:9:00~17:00(一部店舗開店時間が異なる)、直売所9:00~16:30
※2020年11月現在、現在新型コロナウイルス感染拡大防止の為営業時間を変更しております。
定休日:12月31日、1月1日

<ライター紹介>

地元ライター:國本 美鈴(くにもと みすず)
埼玉県深谷市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、都内の情報・通信系企業にて新規事業立ち上げやメディアの編成・PR等を担当したのち、2019年7月〜庄内に移住。現在、庄内町地域起こし協力隊観光PR担当として、イベントの企画やSNS等を活用した地域の情報発信などを行うほか、北庄内地域通訳案内士の資格も持つ。これまで訪問した国は45カ国という大の旅好き。庄内の魅力を県内外、そして海外の人にも発信すべく奮闘中!

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